私は株式投資を行うので、株を買う時を例に考えましょう。
まず、注目する企業を探します。一般的には以下の要素を分析するでしょうか。
定性面:ビジネスモデルや競合優位性、企業理念
定量面:ROE、アセットアロケーション(BS分析)、キャッシュフロー分析
これらの情報やIR情報をもとに経営戦略を理解し、そこからさらに企業価値を割り出します。
続いて、その企業価値に対して株価が割安であるかどうかを調べましょう。例えば、株価が見積もった企業価値の半分ぐらいなら明らかに買いですね。
そして、証券会社の口座で実際に買い注文を出します。しかし、ここで漠然と不安になることはありませんか。
投資家なら少なくとも一度は経験するのではないでしょうか。
では、不安になった場合の対処法です。まずはじめにやることは
企業価値算出を徹底的にやり直す
ことです。不安になるということは、自分の判断に自身が持てない、つまり、自分の分析にどこかしら懸念点があるということです。この場合、企業価値の推定を何度も納得できるまでやり直してください。ポイントは一次情報から確実な論理を積み上げていくことで誤りのリスクを最小限に抑えることです。
ここまで出来れば、理屈上は不安はゼロになるはずです。実際、配当が確実にもらえるような安定的なビジネスの割安株はすんなりと買うことができると思います。しかし、現時点で利益の出ていないような成長株を買う場合は不安が消えないことがあるかと思います。
例えば、新しいマーケットの創出を目指す新興企業。いくら論理を積み上げても、本当に自分の推測は合っているのだろうか?という気持ちが一滴でも混ざれば、買いのモチベーションはすぐに濁ってしまうかと思います。
この話は投資の本質を突いています。いや、人生の本質を突いていると言ってもいい。意思決定までの道のりは論理で一歩ずつ辿っていけるが、ゴール直前で崖になっていて、最後は思い切ってジャンプしないといけない。つまり、最後は論理ではないところの思い切りが必要になってくるのです。
では、どうすれば思い切ってジャンプすることができるのでしょうか。
一つは直感だと思います。人間はこれまでの経験などから直感によって、瞬時に物事の善し悪しを見極めることができると言われています。つまり、「心の声に従え」と言ったところでしょうか。
実は、このアイデアは般若心経から取り入れています。般若心経でも悟りの境地に達するまで、色即是空に代表されるような論理によってその道筋を辿りますが、最後の「羯諦羯諦波羅羯諦」以下の部分は、まさに論理では乗り越えられない、つまり思い切ってジャンプすることで悟りに到達できる様子を表現しています。
理屈を超える何か。投資から離れて考えてみましょう。
例えば、恋愛や結婚はまさしくそうでしょう。「好き」という気持ちは論理で説明することは不可能です。
これを投資に置き換えるとどうでしょうか。投資したい企業のビジョンに共感する、というのはその一つかと思います。そもそも、企業は社会に貢献にあります。利益はそのための手段であって目的ではありません。なので、企業は必ず「どういう価値を社会に提供するか」というビジョンを持っています。そのビジョンの実現のために理屈を超えて自分の持つ資産を擲つ!これぞ投資の本質だと思います。もっと単純に、自分の好きな商品を販売している会社の株を買うという方向性でも本質は同じだと思います。
では、直感やビジョンへの共感はどうすれば身につくのでしょうか。
私は、自分なりの哲学を持つことが重要だと考えています。普段から、他人の考えに追従してしまっていないか。自分なりの物差しを持っているかが大事です。これは、読書によって身につけることができます。個人的には、古典がおすすめです。古今東西で読み継がれて来たことは、その内容の価値を担保しているのではないでしょうか。しかし、読書を読書のまま終わらせればせっかくの努力も水の泡です。自分の頭で納得するまで噛み砕き、心のそこから理解したと言えるまで考え抜きましょう。
学びて思はざれば則ち罔し。思ひて学ばざれば則ち殆し
つまりは、読書と思考の繰り返しによって、自分なりの価値観を育んでいきましょう。
このように考えると、真の資産は自分の頭の中にある知恵であることがわかります。知恵を起点に、投資を行い、その結果リターンが帰ってきます。リターンを生む根源は資本ではなく、知恵にあります。それ故、これまで数々のベンチャー企業が大企業を打ち破ってきました。


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